第22回東京国際映画祭コンペティション出品作『台北に舞う雪』ワールド・プレミア

2009年10月18日(日)、六本木ヒルズで第22回東京国際映画祭コンペティション出品作『台北に舞う雪』の記者会見が行われました。映画祭での上映がワールドプレミアとあって霍健起(フォン・ジェンチー)監督をはじめ主要キャストが揃って来日、華やかな会見となりました。


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左からフォン・ジェンチー監督、 チェン・ボーリン、 トン・ヤオ、 トニー・ヤン、モー・ズーイー

Q. 大陸のフォン監督がオール台湾ロケをした理由は?
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フォン監督 
「若者たちの愛を描いた脚本に感動して映画化したいと思ったのですが、もともと台湾を舞台に書かれていたので設定を変えず、台湾でロケを実施したまでです。今回、台湾で台湾のスタッフと仕事をしましたが、同じ華人だから言葉も食べるものも変わりなく、青島(チンタオ)など大陸の地方都市で撮影しているのと同じ感覚で仕事ができました。ここにいる出演者とスタッフのみんなが力を合わせ、とてもいいチームワークで仕事ができたと思っています」


Q.監督の印象は?

陳柏霖(チェン・ボーリン) 「僕がこれまで一緒に仕事をした中で一番優しい監督です。ずっとインタビューで言い続けていますが、撮影が終わるまで一度も声を荒げることがありませんでした。スタッフがミスしても、『大丈夫、もう一度やろう』と言ってくださるんですよ。それから、僕はモウという青年を演じたんですが、僕はきっとモウは若い頃の監督に違いないと思ってるんです」
 


童瑤(トン・ヤオ) 「フォン監督は中国で第五世代と言われるとても有名な監督。ご一緒できたことを光栄に思っています。初めてお会いしたときは、とても真面目そうな方だなと思いましたが、実際は無邪気な面もお持ちなんですよ。私たちがみんなで楽しそうに何かしていると、必ず監督も参加したい、試してみたいとおっしゃって、とても好奇心旺盛なんです。何に対しても興味を持って好奇心を失わないことが、役者の個性をつかんで物語りの細部まできめ細かい表現することができる理由なのかもしれないと思いました」
 

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楊祐寧(トニー・ヤン) 「非常に有名な監督で、監督の作品を何本も拝見していたので、フォン監督の作品に出ることができると知ってとても興奮しましたが、正直少し緊張もしました。初めてお会いしたとき、監督が僕のことをしばらくじーっと見つめるので、何を言われるんだろうとビクビクしていたら『台北で一番面白いところはどこ?どこが美味しい?何が美味しい?』って(笑)。それで一気に緊張がほぐれて役に入り込むことができました。監督にはとても感謝しています。茶目っ気たっぷりな監督は、今回も東京に来て仕事が終わると毎日『何か美味しいものを食べに行こうよ!』と僕らを誘ってくださいます」

 

莫子儀(モー・ズーイー) 「フォン監督が素晴らしいと思うのはその美意識の高さです。いろいろな場所の一番美しいところを的確に捉えられるんです。監督にとってはあまり馴染みがないはずの菁桐(チントン)でも、すぐに一番美しい場所を見つけてしまわれました。場所だけじゃなくて、人の心も一番良い部分を掴んでくださるんです。そのような感性がとても素晴らしく、僕も是非学びたいと思いました。監督ご自身は優しくて、とても『いい人』、一緒に仕事をするのが楽しくなる監督でした。いい人がいい作品が撮るのって実は難しいことではないかと思うのですが、それを見事にやってしまわれる人生哲学みたいなものがあればぜひご教授願いたいなと思ってます(笑)」
 


フォン監督 「皆さん、本当に褒めまくってくれてありがとう(笑)。役者とはとても脆く、弱いもの。あまり厳しく叱るとますますできなくなり、演技に影響があると思うので、怒ることができません。この4人は本当に可愛らしく、また華があるので、怒ることなんかありませんよ(笑)。彼らが演じてくれた役は、私の理想とする若者たちです。暖かいチームワークの中で作ってこそ、それが伝わるいい作品が撮れると考えていたというのもありますね」


Q.それぞれ個性的な役作りについて
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チェン・ボーリン 「モウという青年は菁桐を一度も出たことがないので、きっと外の世界に対してすごく好奇心を持っているに違いない。そこを強調して演じようと思いました。僕はこの世界に入ったことであちこち飛び回って視野も広がりましたが、そういう経験がない人は世間知らずだったり、純粋な気持ちを持ち続けているんじゃないでしょうか。モウは町の人たちを手助けして忙しそうにしていますが、実際にやっていることはそれほど大したことじゃない。一種の現実逃避で、本当は自分の母親や夢を追いかけたいのに、どうすればよいのかわからず、気持ちを紛らわすために忙しそうにしている青年なのだと解釈して演じました」

 

トン・ヤオ 「脚本を読むと、メイはとても個性的な歌手だと感じたのですが、監督とお話したときに『もっと自然に、素のままで演じてほしい』と言われたんです。その方がよりリアリティがあって、人を感動させる力が増すというお話に納得して、無理に作ったりするのではなく、私自身の部分を出すようにしました。もし自分が菁桐で生活して、モウやレイに出会ったら?と考えて演じました」
 


トニー・ヤン 「レイは陰鬱で気だるい感じですが、こと音楽に関してはパーフェクトを要求する音楽プロデューサーです。この役を演じることは実は非常につらかったんです。僕自身は明るい性格の人間なので、いつもみんなで遊んでいたいんですが、役になりきるため、現場では1人離れて、共演者が集まって遊んでいても加わらないようにしていたからです。今回の役は今まで演じてきた役とは全然タイプが違うし、髪型や外見も普段の自分とは全く異なるので、トニー・ヤンはこういう役もできるんだなと、僕のまた違った一面を見ていただけたら嬉しいですね」
 

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モー・ズーイー 「観客を台湾の小さな町・菁桐で繰り広げられる物語の世界に引き込んでいくのが僕が演じた記者・ジャックの役割だったような気がするんです。ジャックはメイという歌手を探して、独占記事を書こうとしますが、実は台湾では僕たちと芸能記者とは微妙な関係にあります。役作りをする中で、記者をしている友人にどういう気持ちでニュースを追いかけているのか、いろいろ話を聞きました。すると、スキャンダルやバッシング的なことを記事にするときには、自分の気持ちよりニュースバリューを優先してしまうけど、現実の行動と矛盾した葛藤があるのだと話してくれたんです。ジャックもまさに同じところで悩むので、とても参考になりました。」


Q.撮影中で大変だったことは?

チェン・ボーリン 「ちょっと考えます(笑)。あまり苦労した記憶がないんですが、消防車が出す泡を雪のように眺めるシーンでは、顔が真っ白になるほど泡をかぶり、目や鼻に入ってくるのを我慢しなければならなかったのは大変でした」

 

トン・ヤオ 「最初に監督から『あまり演技しすぎるな。演じているという痕跡を見せるな』と言われて、どうしたらいいのか頭の中がいっぱいいっぱいになってしまい、それがいちばん大変でした」

 

トニー・ヤン 「本当に楽しい撮影で、つらいと思ったことはなかったのですが……。(チェン・ボーリンの『タバコじゃない?』という声を受けて)僕は普段タバコを吸わないので、タバコを吸うのがつらかったぐらいかな。あとは、あっという間に撮影が終わってしまって、それがつらかったです。クランクアップ後にみんなでお酒を飲んだんですが、僕は誰よりも大騒ぎしました(笑)。それまでみんなと遊ぶのを耐えていたので、まとめて発散しました!」
 

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モー・ズーイー 「僕はバイクに乗れなかったのですが、撮影のために2週間練習しました。台北が真冬の一番寒い時期だったので、周りから見ると変なヤツだったと思います。もう1つは走るシーンでたまたま転んでしまったら、監督から『それがいい』と言われてしまって、走っては転び、走っては転びを繰り返したことですね」
 


フォン監督 「今回は本当に父親のような気持ちで子供たちを見守っていましたが、それでもやってもらわなければいけないこともあって、チェン・ボーリンには唐辛子早食い競争のシーンで競争相手を演じたスタッフと一緒に何度も本物の唐辛子を食べさせなければなりませんでした。トン・ヤオがステージで天使の格好で歌ったシーンを撮影した日は、みんながダウンを着込むほど寒くて、しかも夜の撮影でした。彼女はとても寒かったと思うのですが、中国語では人を感動させる意味の“動”と凍るの“凍”は同じ発音なので、「凍りたいか?人を感動させたいか?」と聞いたところ、「感動させたい」と言ったので、頑張ってあのシーンを撮影してもらいました。言葉どおり全く寒さを感じさせないで笑顔で歌ってくれましたよ」

ここで司会者より会見終了と言われ、フォン監督は「まだまだ言いたいことがたくさんあるんだけど、時間がないなら仕方ないですね」と残念そうな様子を見せていました。発言内容からもおわかりいただけるとおり、にフォン監督とキャストが互いにとても信頼し合っているのが伝わってくる会見だったと思います。

フォトセッションの最後に司会者より日本語でコメントを求められたチェン・ボーリンは突然の無茶振りに驚きながらも、「今日はみんな北京語だからずっと北京語で話していたのに」とサラッと日本語で答えて、相変わらず堪能な日本語を披露してくれました。



<記者会見の翌日は舞台挨拶が行われました>

 

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フォン監督
「皆さん、こんにちは。また東京国際映画祭に来ることができて嬉しく思っています。そして、新しい私の作品である『台北に舞う雪』を皆さんにご覧いただけることを嬉しく思います」
 


チェン・ボーリン 「みなさん、こんばんは。チェン・ボーリンです。あ、じゃぁ、中国語で。すいません(以上日本語)。これで3回目の東京国際映画祭ですが、今回はこうして監督とこの仲間と一緒にコンペ部門で来ることができてとても嬉しく思っています」
 


トン・ヤオ 「こんばんは。私はトン・ヤオです。東京が大好きです(以上日本語)。こうして初めて東京国際映画祭に来ることができて、そしてフォン監督とこの「台北に舞う雪」でコンペ部門に参加することができてとても嬉しく思っています。みなさん、私たち役者と監督、そしてこの作品を気に入っていただけるととても嬉しいです」

トニー・ヤン 「みなさん、こんばんは(以上日本語)。私はトニー・ヤンことヤン・ヨウニンです。2回目の東京国際映画祭ですが、コンペ部門は初めてです。僕たちのこの作品をみなさんが気に入っていただけたら嬉しいです」
 


モー・ズーイー 「みなさん、こんばんは。私はモー・ズーイーです。日本は3回目です。ラーメンが大好きです。どどうぞよろしくおねがいします(以上日本語)」


Q.今回、若い俳優たちばかりでいつもとは何か違いましたか? 
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フォン監督 「今回、中国・台湾・日本・香港の合作映画であるこの作品を東京国際映画祭に持って来ることができて本当に嬉しく思っています。そして、こうしてこんなにカッコいい、キレイな4人の若い役者を連れてこられて、誇らしい気持ちです(笑)。作品の中の彼らとここにいる彼らの姿は違うと思いますが、みなさんが彼らを好きになってくれて、この作品を好きになってくれたら嬉しいです。今ふと気付いたんですか、なんだかこうして見ると江口洋介さん、佐藤浩市さん、木村拓哉さん、チャン・ツィイーが並んでいるように見えませんか (笑) ?」


Q.演じた役と自分自身は近いと思いますか?

 

チェン・ボーリン 「監督が言った木村拓哉さんに似ているというのは、監督ご自身のことだったんでしょうか (笑) ? 僕もモウのように人助けが好きなところや好きな女の子の前で緊張してしまうところがあるかもしれません。人には楽しそう
に見せていて実は孤独を押し隠しているところも似ている気がします」

短い舞台挨拶でしたが、ワールドプレミアで出演者と観客が直に触れ合う機会とあって、監督とキャスト、そして満場の観客の皆さんがとても嬉しそうな笑顔を見せていたのが印象的でした。
 

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INTRODUCTION
傷が癒えるまで一緒にいてもいいですか? taipeiyuki16.jpg
都会の夢に破れ、ローカル線の終着駅に降りたった新人シンガー。
生まれ育った小さな町で、奇跡を待ち続ける青年。
孤独な二人の出会い、惹かれ合い、すれ違い、気づいたこと。
すべての人は誰かに愛され、見守られている。
『山の郵便配達』 『故郷の香り』のフォ・ジェンチイ監督が台湾の小さな町を舞台に贈る、ひと冬のせつないラブストーリー。
アジア映画若手スター、チェン・ボーリンと、チャン・ツィイーに続く人気急上昇のトン・ヤオほか、台湾、中国の若い才能が共演!!


STORY
新作発表直前に突然、声が出なくなった新人歌手のメイ(トン・ヤオ)は音楽プロデューサーのレイに捨てられることを恐れ、誰にも告げずに失踪する。そしてたどり着いた田舎町で、彼女はそこで孤児として育った一人の青年・モウ(チェン・ボーリン)と出会う。彼の健気な支えのおかげでメイは次第に元気を取り戻していき、2人の間には穏やかな時間が流れていく。メイが台北に残してきた気持ちに気づきながら、彼女への想いを募らせるモウ。メイが再びステージで歌えるようになるその日まで……。


Cast&Staff
監督:フォン・ジェンチー(霍健起)
主演:チェン・ボーリン(陳柏霖) トン・ヤオ(童瑤) トニー・ヤン(楊祐寧)モー・ズーイー(莫子儀 )
脚本:ス・ウ(思 蕪) 田代新世

■タイトル: 『台北に舞う雪 ~ Snowfall in Taipei 』
■公開表記:2010年正月第2弾、シネスイッチ銀座他 全国順次ロードショー
■配給:ゴー・シネマ
© 2009 北京博納影視文化交流有限公司、“台北に舞う雪” 製作委員会、博納影視娛樂有限公司

公式サイト http://taipei-snow.jp/main.php 

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