ポン・ジュノ監督、キム・ヘジャ&ウォンビン『母なる証明』記者会見&舞台挨拶

10月27日、セルリアンタワー東急ホテルで、今年最大の話題を呼ぶ韓国映画『母なる証明』の記者会見が行われ、ポン・ジュノ監督と主演のキム・ヘジャ、ウォンビンが出席しました。『母なる証明』は、本年度カンヌ映画祭<ある視点>部門に正式出品、2010年第82回米国アカデミー賞外国語映画賞部門の韓国代表に決定、韓国映画評論家協会賞で「作品賞」「脚本賞」「主演女優賞」の三冠達成、釜山映画評論家協会賞で「作品賞」「主演女優賞」「撮影賞」の三冠達成と輝かしい実績を引っさげた注目作品。しかも世界にその名を知られたポン・ジュノ監督、“韓国の母”と称される韓国を代表する大女優キム・ヘジャ、“韓流四天王”の1人で、兵役後初、5年ぶりの復帰作となるウォンビンのそろい踏みということで、プレスの数は会場に入りきれないほどです。


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wonbin14.jpgQ. シリアスな内容の作品ですが、撮影現場の雰囲気は?

ポン・ジュノ監督 「俳優とスタッフの息がピッタリ合った現場でした。カメラが回っているときはピリピリしていますが、それ以外は和気藹々、韓国各地を回って撮影したので、みんなで旅をしているような感覚でした。僕たちはみんな美味しいものを食べるのが大好きなんです」


Q. キム・ヘジャさんを主演に迎えてどうでしたか?

ポン・ジュノ監督 「最初にキム・ヘジャ先生ありき、でスタートしたんです。先生を撮るならテーマはやっぱり母だと思いました。内容を考えていくうちに、先生をギリギリまで追い詰めてみたいと。そのためには息子役でウォンビンさんが必要だと思いました」


Q. 母の愛とはどんなものだと思いますか?
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キム・ヘジャ 「母の愛は無条件の愛です。この世に母なくして生まれた人はいません。赤ちゃんが最初に覚える言葉は“オンマ=お母さん”なのです。この映画はぜひ母である方たち、これから母になる方に観ていただきたいです」


Q. 子供のままの純粋な心を持つ若者を演じるのは難しかったですか?

ウォンビン 「この役への挑戦は難しく、でも楽しいものでした。上辺だけの純粋さでは観客にそっぽを向かれてしまうので、トジュンが持つ純粋さとは何だろう?と考え、内面から出てくる純粋さを演じようと心がけました」


Q. みなさんのお母さんはどんな方ですか?

キム・ヘジャ 「優しくて気品のある話し方をする人で、典型的な韓国の母というイメージの母でした。姑に仕え、来客の多い家でしたので1日18回も食事の準備をしていました。父は明治大学からノースウェスト大学、合わせて15年間も留学していましたので、母は1人で家を守り、私たちを育ててくれました。色白で綺麗な人でしたが、夫を思いつつ1人で必死に子供を育てていた点は、夫を失って息子だけを生きがいにしている私が演じた映画の母と一脈通じるところがあるかもしれません」

wonbin9.jpgウォンビン 「たぶん僕の母も息子が追いめられたら闘うに違いありません。そういう点では映画の母と大きく変わらないと思います」

ポン・ジュノ監督 「母は心配性で、いつも焦っています(笑)。5月に韓国でこの映画の試写会があって、観に来てくれたんですが、母の反応がとても気になりました。カンヌ以上に心配でした(笑)。母は全くストーリーを知らずに観たので、かなりショックを受けたのか、もう数ヶ月たつのに、映画について全く触れないんです(笑)」


Q. 母の狂気に満ちた愛を演じるため、どんな役作りをされましたか?

キム・ヘジャ 「5年ほど前にポン・ジュノ監督から映画の大体のストーリーをお聞きし、ほかの映画を撮影中だった時期にも、何度もお会いして話をしたので、私の中でこの役の人物像がどんどん肉付けされていって、クランクインのときにはすでに完成していました。この人物は人間の母というより、手負いで血を流している獣の母に近く、なんとしても息子を守ろうと壮絶な闘いを繰り広げます。一筋の光も入らない暗闇におかれている気分で撮影しましたが、そのままでは精神的に耐えられないので、撮影が終わった夜は美味しいものを食べたりして、少し気分転換しながら5ヶ月間を乗り切りました」


Q. 母が草むらの中で踊るシーンが印象的でした。

ポン・ジュノ監督 「この女性は狂気に満ちている、これから気がふれるような感じもするし、もしかしたらもう狂っているかもしれない、観客にそう予感させるダンスを踊っていただかなくてはなりませんでした。キム・ヘジャ先生が真っ昼間に1人で踊るのは恥ずかしいとおっしゃるので、実はカメラのこっち側で私もプロデューサーも、スタッフみんなで一緒に踊って撮影しました」

キム・ヘジャ 「あのシーンは本当に悩んで、撮り終えるまで肩に大きな荷物を背負ってるようでした。みなさん一緒に踊ってくださったのですが、いざカメラが回ると全く目に入らなくなって、集中できました。目は泣いているのに、口は笑っているという表情を作り、即興で踊りました」

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Q. 犬に敬礼させるシーンは兵役後の復帰作というのを暗に示しているのでしょうか?

ウォンビン 「そういう意図はありません。トジュンにはジンテという友達しかいなくて、ジンテがいないときは犬が遊び相手なんです。小さな子供に気をつけ!礼!をさせるのと同じ感覚で犬と戯れ、トジュンにとって犬が友達でもあり弟でもあることを表現しているシーンだと思います」


Q. 映画の母は、固有名詞がなく、ただ母という役でしたが?

キム・ヘジャ 「名前がないのは、誰の母なのか明確にしないことで、私の母でもあり、あなたの母でもある、と思わせる狙いがあったのではないかと思います。誰にでも身近に感じられる、ただのお母さん。母である方には自分でもきっとああするだろうな、と思っていただけるよう演じました」


Q. 母にここまでさせるトジュンは残酷だと思いますか?
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ウォンビン 「そうですね。残忍な部分を緻密に演じようというより、どんどん問題を起こし母を不安にさせるトジュンが、どうしたらここまで母を動かせるのか考えて演じました」


Q. 撮影中のエピソードがあれば教えてください。

キム・ヘジャ 「演技に行き詰って悩むことも多かったのですが、うまく演じられると監督が携帯メールで褒めてくださるんです。実はそれまで携帯を持ってなかったのですが、クランクイン前にいただいて、メールの送信など操作を丁寧に教わったんです。監督からの指示や連絡はほとんど携帯メールで送られてきました(笑)。監督は自分がOKを出すと、私がもう一度やりたいと言っても撮ってくださらないんですよ。役作りでいろいろ大変な思いもしましたが、今となっては現場が恋しくてたまりません。ポン・ジュノ監督は演技者に新しい服を着せてくださいました。それをとてもうれしく思っています」


Q. 来日時には200人のファンが出迎えてくれましたね?

ウォンビン 「久々の来日で時間がたっていたにもかかわらず、異国に住むウォンビンという俳優を忘れずにいてくださったことが、とてもうれしかったです」


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この後、3人がそれぞれ「どうか『母なる証明』をよろしくお願いします。多くの方に観ていただきたい」と挨拶、フォトセッションの時間となりました。キム・ヘジャさんは、とても印象的な演技をされますが、こんなに小柄な方なんですね。ユーモアたっぷりで話がお上手なポン・ジュノ監督、大女優の風格とかわいらしさを併せ持つキム・ヘジャさん、キリリとした眼差しがまぶしいウォンビンさんの自信作『母なる証明』は10月31日(土)より、シネマライズ、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか全国ロードショー!! です。

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この日の夜、新宿バルト9で先行プレミア上映会が行われ、3人が揃って登壇しました。舞台挨拶では、撮影中のエピソードも披露され、キム・ヘジャとウォンビンが互いに「トジュン」「オンマ(お母さん)」と呼び合い、本当の親子のように過ごしたこと、またポン・ジュノ監督がキャスティング直後に写真撮影をした時、少女漫画に出てくるようなキラキラした2人の目が親子のように似ていることを発見して、とてもうれしかったことなどが明かされました。

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さらには、母親が息子の体を気遣って漢方薬を飲ませたり、食事をするシーンでは、ウォンビンが「蒸した鶏肉を8羽、足の部分を16本食べました。また漢方薬を飲みすぎて胃もたれを起こしました」と苦労話を披露、客席の笑いを誘っていました。

 

wonbin2-6.jpgこの後、スペシャルゲストとして、ポン・ジュノ監督の『TOKYO!』に出演し、監督とは相思相愛の仲という香川照之が監督に花束を持って登場。監督の魅力について聞かれると、「クローズアップのシーンでは目の奥にある人間の恐ろしさが感じられるんです。また、雨が降っているシーンが多いので、いつもスクリーンが濡れている感じがしました。本当に素晴らしい監督で、ずっと一緒に仕事をしていたいと思っていて、『母なる証明』にも出るチャンスをうかがってました」と話しました。 
 

 

wonbin2-5.jpg 続いてスペシャルゲストの鳩山幸内閣総理大臣夫人がキム・ヘジャとウォンビンに花束贈呈を行いました。「この映画はすごく重くて、すごく考えてしまう映画ですが、母親ってやっぱりそうなんだなと思える作品です。皆さん大いに期待してください。そして、皆さんからの感想も聞きたいです」という夫人は先日、韓国大統領と会談した際も日韓の文化交流について意見を交わしたそうで、韓国のエンタメにも精通されている様子でした。

 

 

フォトセッションでは、多くのカメラマンからの要求に応えつつ、客席にもきちんと手をふるウォンビンの姿が。この日を待ち続けたファンだけでなく、ウォンビンもファンとの交流を待ちわびていた様子がうかがえました。  

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『母なる証明』

『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』などの傑作を生み出し、韓国の興行成績記録を次々と塗り替えてきた国際的にも高い評価を受ける若き巨匠ポン・ジュノ監督。長編映画としては3年ぶりとなる待望の最新作『母なる証明』は、静かな町に起こった凄惨な女子高生殺人事件で容疑者となり、身柄を拘束された息子トジュン(ウォンビン)の無実を信じ、その疑惑を晴らすため、真犯人を追って独走していく母(キム・ヘジャ)の姿を極限まで描ききった作品。主演は息子役に韓流四天王の1人として絶大な人気を誇るウォンビン。兵役後初となる待望の復帰作であり、映画出演としては実に5年ぶりとなる本作では、単なる美形スターとしてではない難役に挑み、新たなる実力派俳優の誕生を強烈にアピールしている。そして、母親役には、TVドラマを中心に活躍し、“韓国の母”とも称される国民的大女優キム・ヘジャを迎えた。韓国を代表するスターの顔合わせは絶大なエネルギーを発し、後世に残るヒューマンミステリーの最高傑作として観る者を圧倒する。


監督:ポン・ジュノ 原案:ポン・ジュノ 脚本:パク・ウンギョ、ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソンほか
製作:CJエンタテインメント/バルンソン 制作:バルンソン
配給:ビターエンド
CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO.,LTD. All Rights Reserved.

オフィシャルサイト:www.hahanaru.jp 
 

 


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