東京国際映画祭アジアの風「台湾電影ルネッサンス2010-美麗新世代」記者会見

東京国際映画祭アジアの風「台湾電影ルネッサンス2010-美麗新世代」は、10月24日に「モンガに散る」で幕を開け、「ジュリエット」「ズーム・ハンティング」「4枚目の似顔絵」「風に吹かれて~キャメラマン李屏賓(リー・ピンビン)の肖像」「台北カフェ・ストーリー」一挙6作品が上映されます。「モンガに散る」の舞台挨拶の後、来日中の関係者が一堂に会し、記者会見が行われました。

tiff-aa.jpg

 
写真前列左から「ジュリエット」主演のビビアン・スーチェン・チークアン新聞局映画處長シェン・シャオウイン台北市文化局局長、「ズーム・ハンティング」主演のチャン・チュンニン、後列左から「モンガに散る」主演のイーサン・ルアンニウ・チェンザー監督、主演のマーク・チャオ、プロデューサーのリー・リエ、「ジュリエット」プロデューサーのリー・ガン
 tiff-b2.jpg
まずはチェン・チークアン新聞局映画處長が「観客の皆さんが私を観にいらしているわけじゃないことは充分承知していますから、挨拶は1分で終わります」と話し出すと、お茶目なニウ・チェンザー監督が局長に見えるよう前に出て、腕時計で時間を計るパフォーマンス。なごやかな雰囲気で会見がスタートしました。「台湾ばかりでなく日本でも人気の俳優が顔を揃え、すばらしい作品を持ってきました。東京国際映画祭をきっかけに、台湾、日本、世界各地の映画を愛するファンの交流が深まることを期待します」というチェン局長の話は、予告通り1分以内で終了。続くシェン台北市文化局局長は「今回上映される作品6本の前売り券がすべてSold Outになったそうです。皆さま、ありがとうございます。これからも台湾映画界はますます良い作品を制作していきたいと思います」と挨拶しました。
 
「モンガに散る」チームは、プロデューサーのリー・リエから「12月に待望の日本公開が決定しました。とてもうれしく思っています。一足先にご覧いただいた皆さん、ぜひお友達に良かったよ、と宣伝してください」と、喜びの報告が。マーク・チャオは映画の舞台挨拶、Q&A、そしてこの記者会見と、3度目の登場ということで、日本語で「こんにちは。また、こんにちは(笑)」と挨拶して笑いを誘い「皆さん、モスキート(日本に来て桜を見たいという夢を持っていた映画の中の役名)に日本の地を踏ませてくれて、ありがとうございます!」と述べると、すかさずニウ監督が「きみが来なくても、僕が来て桜の絵ハガキを送ってあげるよ(笑)」と応酬。映画をご覧にならないと、このジョークの可笑しさがおわかりいただけないかもしれませんが、会場のファンは「モンガの散る」を観た直後だったため、拍手喝采でした。
 
その後のニウ監督の挨拶を紹介しましょう。tiff-c1.jpg
「日曜日の午前中にもかかわらず、僕たちの映画を観に来てくださって、ありがとう。どうも誰も席を立っていないようなので、気に入ってもらえたんだと解釈します(笑)。皆さん、これからも目覚ましく発展する台湾映画に注目してください。我々若い世代が情熱を込めて作品を撮り、台湾映画は大きく変化しています。以前より観客に共感してもらえる、日々の心情を描いた作品が増えています。今後も、マークが出演する『痞子英雄~Black & White』の映画版など、注目作品が目白押しです。ぜひ台湾映画を応援してください。最後に、『モンガに散る』の舞台挨拶で質問したのですが、まだ返事をいただいていないので、もう一度聞きます。(日本語で)今夜あいてる(笑)?」
 
イーサン・ルアンは頭をかきながら、話し始めます。
「豆導(ニウ監督の愛称)の後に何を話せばいいのか途方に暮れてしまいます(苦笑)。くり返しになりますが、日曜日の朝からこんなに大勢の皆さんが僕たちの映画を観にきてくださって、感謝、感謝です。(日本語で)映画ぜひ観てください。ヨロシク!」
 
チャン・チュンニンは、スケジュールの都合で監督が来日できず、ひとりで出席。「私たちの映画『ズーム・ハンティング』は、今夜遅くに上映されます。ぜひご覧ください」というチュンニンの言葉を受け、司会者から「こういうのが本当の、今夜あいてる?というシチュエーションですね」と絶妙なコメントが入りました。
 
「ジュリエット」のプロデューサーであるリー・ガンからは次のような話が。TIFF-BICI.jpg
「今から27年前にホウ・シャオシェンたち3人の監督のオムニバス映画『坊やの人形』という作品が制作されましたが、この『ジュリエット』も3人の監督が愛をテーマに撮ったオムニバス映画です。長年、台湾映画は個人的な作品の要素が強かったですが、多くの人たちが分業で自分の仕事をし、みんなが力をひとつにしてこそ、すばらしい作品が誕生し、映画産業が発展していくのだと思います。きのうのグリーンカーペットの件は、とても遺憾に思っています。ビビアンはたっぷり時間をかけてお化粧して、着飾って待っていましたが、出られませんでした。結婚式に参加できなかったみたいで、がっかりしていました。映画というものは、みんなが時間をかけ、心血を注いで作っていくもの。映画祭というのは、そんな映画人たちのパーティーです。それが映画と関係ないことで台無しになるのは、たいへん残念なことです。もちろん、政治の問題は映画よりも重要な問題で、今は過去100年のさまざまな歴史を経て、ようやく話し合いの席についたところですが、政治の問題を解決するのは、私たち映画人の仕事ではありません。映画に関して言えば、中国と台湾はとっくにひとつになっています。同じ言葉を話し、力を合わせて作品を撮っています。『映画中国』が世界に向けてすばらしい作品を発信していくことが、私たち映画人に課せられた最も重要な仕事だと思っています」
 
tiff-ib.jpg
リープロデューサーの言葉に、ビビアンが涙を流し始め、会場からも鼻をすする音が聞こえました。涙を見せまいと後ろを向いていたビビアンが、静かに話し始めました。
「お久しぶりです。ビビアンです。きのうは、みんなで朝までお酒を飲みました。それでも解決できない問題でした。私たちには、どうにもならない問題です。ニウ監督は式に出席する衣装に着替えた後、何度も鏡を見てチェックしていました。窮屈なネクタイが嫌いなイーサンもネクタイを締めて、チュンニンは背中を出してすごくセクシーでした。私もすごく綺麗だったんですよ(笑)。記念にたくさん写真を撮りました。映画の話に戻ります。『モンガに散る』も大好きな妹分、チュンニンの『ズーム・ハンティング』も全部観たんですが、『ジュリエット』は、自分が出ているパートしか観てません(笑)。きょう午後に上映されるので、とても楽しみにしています。満席になるといいなぁ。私はこの映画で脳に障害を持つ女の子を演じています。難しい役で、私にとっては新しい挑戦でした。この映画を好きになっていただけると嬉しいです」
 
tiff-b3.jpg
最後は全員でフォトセッション。台湾チームがグリーンカーペットに登場しなかったことで取材に訪れたマスコミの数も多く、注目度の高い会見でしたが、いろいろ考えさせられる内容もあった反面、笑いが起こるシーンも多く、内容の濃いものになりました。
 tiff-a2.jpg

 tiff-a4.jpg

 23回東京国際映画祭 アジアの風
「台湾電影ルネッサンス2010~美麗新世代」ラインアップ一覧
共催:台北電影委員会、行政院新聞局、台北駐日経済文化代表處



『4枚目の似顔絵』(2010年)
原題:第四張畫 英題:The Fourth Portrait
監督:チュン・モンホン(鍾孟宏)
出演:ビー・シャオハイ、ハオ・レイ、レオン・ダイ
父の死後、再婚した母に引取られた10歳のシャンには孤独な未来が待ち受けていた。 彼は絵を描くことに慰めを見出していくのだが……。台北映画祭のオープニングを飾った注目作。


『ジュリエット』(2010年)
原題:茱麗葉 英題:Juliets            
[第1話]
監督:ホウ・チーラン(候季然)
出演:ビビアン・スー、ワン・ポーチエ       
[第2話]
監督:シェン・コーシャン(沈可尚)
出演:リー・チエンナー、ホワン・ホー
[第3話]
監督:チェン・ユーシュン(陳玉勳)
出演:カンカン、リャン・ハーチュン
3話オムニバス、日本でも人気のビビアン・スー主演作品や、『熱帯魚』のチェン・ユーシュン監督の復活作にも注目。


『風に吹かれて~キャメラマン李屏賓(リー・ピンビン)の肖像』(2009年)
原題:乘著光影旅行 英題: Let the Wind Carry Me
監督:クワン・プンリョン(關本良)、チアン・シウチュン(姜秀瓊)
出演:リー・ピンビン(李屏賓)
台湾出身の名撮影監督リー・ピンビンと彼の仕事に迫ったドキュメンタリー。 ホウ・シャオシェン監督やウォン・カーウァイ監督作品から日本の行定勲監督、是枝裕和監督の作品にいたるまで名匠の仕事に密着。台北映画祭のグランプリに輝いた最新作。

 
『台北カフェ・ストーリー』(2010年)
原題:第36個故事 英題: Taipei Exchanges
監督:シアオ・ヤーチュアン(蕭雅全)
出演:グイ・ルンメイ、チャン・ハン、リン・チェンシー
ドリスが経営するカフェは妹がはじめた“物々交換”が話題になって毎日沢山の人がやってくる。 ある日、一人の男性があるものを持ってきてドリスの人生に変化が訪れるのだが……。『藍色夏恋』のグイ・ルンメイ主演のラブリーな最新作。

 
『ズーム・ハンティング』(2010年)
原題:獵豔 英題:Zoom Hunting 
監督: チュオ・リー(卓立)
出演: チャン・チュンニン、チュウ・チーイン、ウェン・シェンハオ
写真家と探偵小説家の姉妹。ひょんなことから妹が向かいのマンションの一室で情熱的にセックスをしている カップルの姿を写真に撮る。しかし、数日後その女性がほかの男と結婚していたことを知り妹はそのカップルを観察し始める……。TV「ザ・ホスピタル」のチャン・チェンニン主演作。 

 

前に戻る 4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14
[Copy selction] [Translate With Google]