10月24日、第23回東京国際映画祭アジアの風「台湾電影ルネッサンス2010～美麗新世界」で「ジュリエット」がワールドプレミア上映され、プロデューサー（PD）のリー・ガン、ホウ・チーラン監督、日本でも人気のビビアン・スーがQ&Aに登場しました。この映画は第1話「ジュリエットの選択」、第2話「ふたりのジュリエット」、第3話「もうひとりのジュリエット」の3話からなるオムニバス映画で、ホウ監督とビビアンは第1話の監督＆主演を務めました。
（写真左から、リー・ガンPD、ビビアン・スー、ホウ・チーラン監督）
リー・ガンPDは、作品の内容や3人の監督について詳しく紹介、あまりに発言時間が長いのでビビアンがカメラマンに向かって“ヘン顔”をしたり、お客さんに手を振ったりしていましたが、最後にリー・ガンPDが「ビビアンがこんなにすばらしい演技をする役者だとは思ってなかった」と褒めると、隣でビビアンが思わずガッツポーズ！ 客席から大きな拍手が送られました。
ホウ・チーラン監督は、なんと上映の1時間前に到着したとのこと。「撮影していたニューヨークから駆けつけたのですが、間に合って良かった！ リー・ガンPDには、個性の違う3つの作品をうまくまとめていただいて感謝しています。また、脚本の段階ではもっと平凡だった主人公が、ビビアンの演技とアイデアで深みが出ました。ビビアンに出演してもらってよかったと思っています」と、2人にお礼を言葉を。
通訳さんが「平凡」という言葉を使ったのを聞いたビビアン・スーは、「平凡と聞いて思い出しました」と前置きして、いきなり歌手モードに突入。「平凡だけど、誰かを愛し～♪」とテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」をワンコーラスたっぷり歌いきり、これには会場のファンも大喜び。思いがけず、ビビアンの生歌が楽しめました。脳に障害があり、歩行が困難という設定の役であったため「鉄のギブスを作ってもらって、４日間そのまま外に出かけ、友達と食事をしたりしました。重く、うまく歩けなくてケガをしてしまい、車椅子でクランクインを迎えたのですが、役
者として大きなチャレンジができて、演じ切ることができて良かった」と感慨もひとしおの様子でした。
者として大きなチャレンジができて、演じ切ることができて良かった」と感慨もひとしおの様子でした。 残り時間がわずかでしたが、ここから、会場の質問を受け付けました。
Q. オムニバスの3話ともに、ヒロインが赤い衣装を着ていましたが、その意味は？
リー・ガンPD 「鋭いですね。よく気づいてくださいました。オムニバスがバラバラな印象を与えないよう、何か共通点を作りたかったんです。同じ女優さんに演じてもらうというアイデアもありましたがスケジュール的に難しく、3話ともに登場する役柄を作ろうとも考えましたが、なかなかうまくいきませんでした。それで、1話のジュリエットは赤い服、2話のジュリエットは赤いかばん、3話のジュリエットには赤い下着、ヒロインが赤いものを着たり持ったりすることになりました」
ホウ・チーラン監督 「でも、実は撮る前に話し合って決めたわけではなく、たまたまどの監督も赤いものを使っていて、それが共通点になったんです」
Q. 今後やってみたい役は？
ビビアン・スー 「中途半場ではなく、極端な役に魅力を感じます。「リング」みたいに怖い役、すっごく泣かせる、大笑いさせる、そういう人物を演じてみたいです。あとは、テレサ・テンさんの一生を演じる、なんていうのいいですね」
Q. ヒロインのように、かなわぬ恋をしてしまったらどうしますか？
ビビアン・スー 「私は楽観的な性格だから、笑顔で頑張ると思います。怖いことはしないで、ニコニコしているけれど、ずっと楽観的で笑顔っていうのも怖いですよ～（笑）」
日本ではアイドルのイメージも強かったビビアンも、もはや30代半ば。映画では、大学生に憧れ、思いを寄せる女の子を演じましたが、10代の少女の役も、まったく違和感がなかったのは、さすがです。美しい大人の女性の顔を見せながらも、大きな目をくりくりさせ、愛嬌たっぷりの表情に魅了された人も多かったのではないでしょうか。
「ジュリエット」（Juliets／茱麗葉）
2010年／105min.／Khan Entertainment
プロデューサー： リー・ガン
第1話「ジュリエットの選択」
監督： ホウ・チーラン
キャスト： ビビアン・スー、ワン・ポーチエ
第2話「ふたりのジュリエット」
監督： シェン・コーシャン
キャスト： リー・チエンナー、ホワン・ホー
第3話「もうひとりのジュリエット」
監督： チェン・ユーシュン
キャスト： カンカン、リャン・ハーチュン
