実力派歌手としてはもちろん、女優としても絶大なる人気を誇る那英（ナーイン）が12月21日、中野サンプラザで初の来日コンサートを開催しました。中国ではアリーナ規模のコンサートを行う那英。日本でも人気が高く、会場は熱心なファンで埋め尽くされていました。

2000年に発表した「心酸的浪漫」でコンサートがスタート。竹笛の響きの美しい「為ｲ尓朝思暮想」、バイオリンが印象的な「船」をスタンドマイクで丁寧に歌い上げると、客席から那英コールが止みません。にこやかに笑みを浮かべ、その歓声に応える那英の姿からは、気さくな人柄がうかがえました。

 
「この曲で私を知って下さった方も多いはず」と中国的曲調の「山不転水転」を歌い出すと「知ってる」「なつかしい」とばかりに会場がどよめきます。オープニングから「我不是天使」までの8曲、短いコメントをはさみながら一挙に歌い切りました。

紫のゆったりしたドレスに着替えた後は、二人のギタリストに挟まれての「夢一場」やASKAの「Girl」のカバー曲である「相見不如懐念」など、バラードのヒット曲が続きます。その見事な歌声は、さすが那英とうならせるものでした。

コンサート終盤には白のドレスでゴージャスに変身し「小さい頃から歌手になるまでずっと私と一緒だった大好きな曲です」と紹介して山口百恵「さよならの向こう側」を熱唱。そしてラストソングは、那英最大のヒット曲「征服」。壮大なイメージの楽曲に、深い感動に包まれた客席からは熱いアンコールがかかり続けます。すると那英はTシャツとタイトなパンツスタイルに着替え、イメージを一新して再登場。「一笑而過」でコンサートを締めくくりました。

コンサート終了後、記者会見が行われました。

Q. まずはご挨拶をお願いします。
こんばんは。20周年のコンサートを東京でも開くことができ、とても感動しています。まだまだ未熟な点もあったかもしれませんが、大目に見ていただければと思います。

Q. 今後の日本での活動計画は？
来年も呼んでいただけるなら、大阪にも行きたいですし、また東京でもやりたいです。今回のコンサートで、中国をあまり知らない日本の皆さんとの距離が近くなった気がします。音楽は本来国境のないものです。日本の活動については、無理せず縁に任せつつも、日本の歌を練習していきたいと思っています。

Q山口百恵の曲を選んだ理由は？
小さい時、彼女の曲から私と日本の歌との縁が始まりました。私にとって、とても印象深い曲です。今日、この曲を歌いながら、自分が引退する時にもこの曲を歌いたいという考えがよぎりました。私は歌が好きですから、まだまだ引退せず、舞台に立ち続けたいと思っていますが……。

Q. デビュー20周年を迎えた気持ちは？
この20年の過程は忘れ難く、感謝の一言に尽きます。もちろんすべてが順風満帆ではなく、辛いこともありましたが、それが成長の糧となり、今日は成長した姿お見せできたのではないかと思います。ファンとは共に助け合いながら成長してきました。感謝の気持ちでいっぱいです。

Q. ファンにメッセージをどうぞ。
コンサート中にも会見でも「感謝に尽きます」と言いましたが、そのとおりです。中国語のわからない日本のファンが私の歌を聴いて下さってうれしく思っています。来年も新しいCDを持って日本に来たいと考えておりますので、その時はまたいらして下さい！　私の歌を聴いて育ったファンのいる場所なら、世界中どこでも出かけて行って歌うこと、それが私の真心だと思っています。東京には（私と同じ）中国東北部出身の方が多いと聞いています。そうですね？（うなずく記者たちの顔を見て笑顔に）

Q. 8年間は新しいCDを発売していませんが、今後の計画は？
ここ数年もCDの準備をしていましたが、結婚や二人の子供の妊娠・出産があってストップしていました。でも、今は再び新しいCDの準備をしています。三人目の子供が産むように、来年の5月には私の新しいCDをお届けできると思います。楽しみにしていて下さい！

≪セットリスト≫
1.心酸的浪漫
2.ｲ尓朝思暮想
3.船
4.愛上ｲ尓等于愛上寂寞
5.山不轉水轉
6.霧里看花
7.緑葉対根的情義
8.我不是天使
9.夢一場
10.夢醒了
11.白天不懂夜的黒
12.相見不如懐念
13.不管有多苦
14.再見的另一方
15.征服
＜アンコール＞　一笑而過