別所哲也×エリック・クー監督登壇! 映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』ティーチインイベント             

手塚治虫も嫉妬した才能
映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』
 未来の情報発信者200人が集結!
2014年11月、角川シネマ新宿ほか全国順次公開!
tatsumi-movie.jp 

第64回カンヌ国際映画祭のある視点部門に正式出品され、第84回米アカデミー賞、外国語映画賞のシンガポール代表に選出されるなど世界的な評価を受け話題となっている11月公開の映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』。本作にて監督のエリック・クーが来日し、劇中6役の声を担当している別所哲也氏と上映後のティーチインを実施いたしました。

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映画『TATSUMI マンガに革命を起こした男』
東京大学 大学院情報学環角川文化振興財団 メディア・コンテンツ研究寄付講座
ティーチイン概要

7月15日(火)、角川シネマ新宿 シネマ1(東京都新宿区)にて、別所哲也、エリック・クー監督が登壇しました。会場には朝早い時間ながら、未来のクリエイターや情報発信者を目指す若者たちが詰めかけ、上映前から熱気は最高潮。

上映後のティーチインでは積極的な質問が数多く飛び出し、予定時刻をオーバーしても質問が止まらないほどの盛り上がりとなりました。

質問に対して真摯に回答する二人のコメントを熱心にメモする人もいるなど、満足度の高いティーチインとなったようです。

MC:『TATSUMI マンガに革命を起こした男』は第64回 カンヌ国際映画祭 ある視点部門 に正式出品、
第84回 米アカデミー賞ではシンガポール代表作品として選出され、日本でも第24回東京国際映画祭で上映されて話題を呼んだ作品で今年の11月にここ角川シネマ新宿ほかで劇場公開されることとなりました。簡単に作品をご説明させていただきます。

すべてを失った日本が焼け跡の中から、生み出した「マンガ」。戦後の日本に活力を与えただけでなく、今や世界中に広がり皆さんがご存知のとおりカルチャーの一大潮流となっています。
ところが日本人はこの分野で世界から絶賛注目されているクリエイターに詳しくありません。
彼の名は、辰巳ヨシヒロ。

元々は子供のものだった「マンガ」を、大人の読み物に昇華させ“マンガの神様”手塚治虫を嫉妬させた「劇画」 の名付け親である辰巳の功績は、アメリカ・フランスといったマンガ文化の先進国において極めて高い評価をうけ、マンガ界におけるカンヌ(国際映画祭)とも言われるフランスの「アングレーム国際漫画祭」で特別賞を受賞する など、その地位を確立。日本でも再評価の機運が高まっています。

今日は東京大学 大学院情報学 環角川文化振興財団メディア・コンテンツ研究寄付講座サマープログラムの一環として、未来の情報発信者の皆様をお迎えして一早くご覧いただき、ティーチインを実施させていただきます。早速ゲストの方をお呼びしたいと思います。

エリック・クー監督、劇中6役の声を担当されました別所哲也さんです。どうぞ拍手でお迎えください。ご挨拶お願いします。

エリック・クー監督:本日はお越しいただきましてありがとうございます。監督のエリック・クーです。よろしくお願いします。

別所哲也:早い時間からお集まりいただきありがとうございます。世界で評価されている本作が、日本でも11月に封切られるということで大変嬉しく思っています。よろしくお願いします。

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MC:ありがとうございます。まずはエリック監督にお伺いです。劇画の名付け親「辰巳ヨシヒロ」さんの
半自伝的作品「劇画漂流」を基にされておりますが、この作品を映画化しようと思ったきっかけはありますか?

クー監督:辰巳先生が2009年に出版された「劇画漂流」を呼んで、先生の人生を描いた作品をつくりたいと改めて思いました。今まで私を数十年魅了してきた、先生の短編を盛り込んだものにしようと思ったのです。

MC:ありがとうございます。続いて別所さんにお伺いしたいと思います。別所さんがエリック監督の作品に参加されることとなったきっかけはありますか?また日本の知られざる才能が、海外で高い評価を得て映画化されたことについてどう思いますか?

別所:オファーは共通の知人から辰巳先生のお話を映画化したいというのを聞き、エリックと対面しました。
辰巳先生、エリック・クーという世界で高い評価をされ、アジアを代表するような作品に参加できて光栄です。

MC:ありがとうございます。それでは本日お集まりいただいた皆様からの質問を受けたいと思います。ご質問がある方挙手でお願いします。

Q:別所さんに質問です。一人6役を演じる際に監督からはどのような指示がありましたか?また、心がけた点などありますか

別所:体を使った動きが見せられないなかで一人6役とはとてもチャレンジングだなと思い、
事前に色々と資料をみて準備しました。収録は2日間と限られていたので意見を互いに持ち寄り、その場ですり合わせました。キャラクターごとの動きや息づかい、姿勢、体の大きさなどでイメージしましたものをエリックから「もっと早く」とか「もっとゆっくり」などと指示を受け収録していきました。

MC:ありがとうございました。続いてご質問のある方いらっしゃいますか?

Q:恥ずかしながら、辰巳先生のことを存じ上げておらず、教えていただきありがとうございました。今までの辰巳先生の功績と今後も与えていく影響などお二人はどのようにお考えですか?

クー監督:辰巳先生は50年代からマンガを大人向けのものに導いていき、手塚治虫氏にも影響をあたえた結果「ブラック・ジャック」や「アドルフに告ぐ」などが生まれたんだと思います。西洋のコミックとも一線を画す、辰巳先生の世界観は今後の作品にも根強く残っていくと思います。

別所:辰巳先生は、大人が社会と向き合う時のほろ苦さをフィルム・ノワール的に表現し、従来のマンガやアニメーションが持っていたストライクゾーンを拡げたと思います。匠クラフトマンシップを持っている方で、今後もクリエイティブの力は尽きること無く世界のヒストリーに刻まれると思います。

MC:ありがとうございました。続いてご質問のある方いらっしゃいますか?

Q:劇画やマンガをアニメーション化するのに苦労した点と、本作を創り上げていくうえでのプロセスを教えてください。

クー監督:アニメーションの作品をやる忍耐力は無いと思っていたのですが、辰巳先生の作風を表現するには、アニメショーンしかないなと思って、アニメーターのフィル・ミッチェルに相談したところ25人のアニメーターを用意してくれました。実写で動きを再現して、アニメーション化しながら辰巳先生に色味や造形物に違和感がないかを確認しながら創り上げていきました。ちょうど「劇画漂流」の翻訳版が出たのでアニメーターの人には
見てもらってイメージを共有していきました。あえて古いフィルムに見えるように意図的にキズの効果を入れていたら、カンヌに出品する時「キズがありますよ」って指摘されました(笑)。

MC:まだまだお話をお伺いしていきたいところですが、お時間が迫ってまいりましたので最後にこれから作品をご覧になる方々に向けてコメントをお願いします

クー監督:本日は一足先にご覧いただきありがとうございます。11月に劇場公開されますので、周りの皆さんに伝えていただき、辰巳さんの魔術的な作風を味わっていただければと思います。よろしくお願いします。

所:この作品に関わって、改めて何が“オリジナル”なのだろうと考えました。世界中が熱狂したこの世界観は、現在のマンガ、アニメにも脈々と受け継がれていて、色こそ違えどジブリやディズニー作品にも通じるものがあると思います。マンガ、劇画の持っている可能性を感じていただき、公開されたことで日本に新しい熱気がつくれればありがたいなと思います。よろしくお願いします。

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◆◇◆                                                                            
感動も、哀しみも、屈辱も、全て彼がマンガに持ってきた。
“劇画”を生み出した、辰巳ヨシヒロの半生。
世界が認め、手塚治虫が嫉妬した「劇画」の世界。
日本人が知らない劇画ゴッド・ファーザー辰巳ヨシヒロの歩んできた道のりとその時代背景が半自伝的作品「劇画漂流」を基にスクリーンで明かされる。

すべてを失った日本が焼け跡の中から、生み出した「マンガ」。戦後の日本に活力を与えただけでなく、今や、世界中に広がり、カルチャーの一大潮流となった。
ところが我々日本人は、この分野で世界から絶賛、注目されるクリエイターの名前を知らない。彼の名は、辰巳ヨシヒロ。
 
元々は子供のものであった「マンガ」を、大人の読み物に昇華させ、“マンガの神様”手塚治虫を嫉妬させた
「劇画」の名付け親である辰巳の功績は、アメリカ・フランスといったマンガ文化の先進国において極めて高い評価をうけ、マンガにおけるカンヌとも言われる「アングレーム国際漫画祭」で特別賞を受賞するなど、その地位を確立。
まさに邦題サブタイトル“マンガに革命を起こした男”として日本でも再評価の機運が高まっている。

本作は2009年手塚治虫文化賞大賞を受賞した「劇画漂流」を基に、大人が楽しめるエンターテイメントの可能性を追求し続け、葛藤と苦悩を繰り返した辰巳ヨシヒロの半生を、カンヌ国際映画祭の常連シンガポールの映像クリエイター、エリック・クーが監督し、辰巳の代表的な劇画作品を映像として動かすことに成功した今までみたことのないドキュメンタリーアニメーション作品。
また別所哲也がナレーションを含めた一人六役の声を演じていることも話題となっている。

【作品情報】
 今、我々は日本が世界に誇るこの才能を、無視してはいけない。

終戦直後の日本。マンガを描くことが大好きだった辰巳ヨシヒロ少年は、憧れの手塚治虫に会い談笑したその日から、マンガ家になることを心に決める。

彼の情熱は、すぐに出版社に認められ、貧しい家計を支える重要な手段となっていく。
マンガ家として順調なスタートを切った辰巳だったが、当時のマンガは子供向けの笑いの要素が中心の可愛らしいものが中心。
辰巳はマンガのあり方に疑問を感じながら、さらなる可能性を見出していた。
そして1957年、22歳の辰巳は、大人に向けた内容と表現としてのマンガの手法を確立し「劇画」と名づける。
写実的な描写と動きのあるコマ割りで映画のようなダイナミズムを表現した彼の作品は後の劇画ブームの火付け役となっただけでなく、現在の青年漫画に多大な影響を与えることとなった。

彼の生み出す作品は、コミカルに描かれていた従来の漫画とは一線を画し、時事問題や、社会情勢を反映させながら不条理ともいえる展開が見る者に衝撃を与えた。
日本の漫画界においてこれほどまでの変革を担ってきた重要な人物辰巳とその作品に、なぜ光があたらなかったのか。
彼の半自伝的作品ともいえる「劇画漂流」を基に、その苦悩と才能が紐解かれる。

『TATSUMI マンガに革命を起こした男』

■公開日:2014年11月角川シネマ新宿他全国順次公開
■監督:エリック・クー
■原作:辰巳ヨシヒロ「劇画漂流」
■声の出演:別所哲也(一人六役)、辰巳ヨシヒロ
■配給:スターサンズ
2011/シンガポール/96分/日本語/原題:TATSUMI 
(C)ZHAO WEI FILMS

 

 

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